いつの間にやらニュートリノ。

6
81

 どこにも属していなくて幽霊のようにどこかに行ってしまう粒子がある。ニュートリノと呼ばれている。この一文を読んで、なんだ私かと教室でため息ひとつ。

 四十名のクラスメイトの中で、どこにも属していない私は幽霊のようなもの。いつ、どこに行ってしまっても誰も気にしないんだろうな。

 と、私の「よく分かる物理学の本」を見て、たくみ君が声をかけてきた。

「佐々木ってそういうの興味あるんだ? なんかスーパーカミオカでそういうのあったよな」
「……スーパーカミオカンデ?」
「そうそう、それそれ。なんかニュースでやってた」

 最近、そのカミオカさんでニュートリノに重さがあることが発見されたらしい。本にも書いていない最新情報だ。

「すごいじゃん!」
「おぉすごいのか。よくわかんないけど伝えて良かった」

 そう言ってニカッと笑うたくみ君はそれからも話しかけてくれるようになった。私にも重さが出来た。
SF
公開:18/07/08 02:08
物理 ニュートリノ

おきつね土鍋( 閉架から910の分類番号辺りまで )

図書室に入り浸っていた学生時代から物語のとりこです。マイペースに活動していきます。
作品に使用している画像は、版権フリーのものや、NASAのサイトの商用以外使用可能なものを利用させて頂いております。

アマゾンさんにて販売中 https://goo.gl/QMhGse
Twitter:https://twitter.com/okitune_donabe
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容