宇宙の始まりを我が家の天井で

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宇宙が始まる前、世界はたった一粒の砂だった。砂つぶは、何万年何億年と時をかけ、膨張していった。そして1兆年を超える頃には巨大な塊となり、その膨張力に耐えきれず真っ二つに裂けた。塊と塊の間には、暗闇の空間が生まれ、裂けた時の衝撃波で光の波が現れた。世界に光が生まれた瞬間だ。塊は二つに裂けた後、また膨張を始め、また裂け、いつしか何億個もの塊になり、空間は無限に広がっていった。こうして、銀河系が誕生し、また遥かな時を経て生命が出現し、そうして我々人類が誕生したのだ。

「崇仁、崇仁!」
父親が天井を向いてひっくり返る幼い我が子に駆け寄る。
「あ、パパ」
「大丈夫か?!」
「うん」
「いつもご飯中にぼーっとしてるから。いつか椅子からひっくり返るぞって注意してただろ!」
「ごめん。でもね僕、宇宙の誕生を見てきたよ」
父親は口をポカンと開けた後、息子の後頭部を優しく撫でる。
「お前相当強く頭打ったな」
SF
公開:18/04/16 20:20

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