壺中の魔神

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天に満月の輝く夜のこと。
若者がナイルを流れてきた美しい壺を拾いあげますと、壺中から魔神が現れます。

魔神は「願いを一つだけ叶えよう」と云う。
これが噂に聞く壺の精かと思い、男は願い事を考え始めました。
しかしたった一つではなかなか決められず、とうとう男は「少し返事を待ってくれ」と云います。
「何年でも待とう」と魔神は壺中へ消えました。

大富豪、絶世の美女、不老不死、様々な願いごとを日ごと考え続けましたが、やはり一つに決める事ができません。
そして月日は過ぎ、男は自分が老人になっている事に気付きました。
「俺は慎重すぎたのだ」
ふたたび魔神が現れます。
「願いは決まったか?」
「ああ、俺はもう一度人生をやり直したい!」
「そう云うと思った」
魔神はニヤリと笑い、壺中へと消えました。

天には満月が輝き、男は元の若者に戻っていました。
「ああ、これからはもっと大胆に生きるとしよう──」
ファンタジー
公開:18/06/09 18:31
更新:18/06/18 11:38

渋谷獏( 東京 )

(獏・ω・) 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。
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