型抜き

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「今度の土曜日の夜市、ちょうど七夕やな」
「うん、何か願い事するん?」
「そうやなあ、夜市の型抜きでいっぱいこと抜けますようにって短冊に書くわ」
「ほな僕もそうしよ」
七夕の日、夜市で僕たちは信じられないくらいたくさんの型を抜いた。
初めはへらへらと笑っていた店の男が最後は般若のような顔でいちゃもんをつけ始め金は払わないと言った。
見ていた大人たちがさすがにそれはないだろうと加勢をしてくれた。
その時、その中の酔っぱらったおじさんが椅子につまずいて長机の上に倒れこみ、僕たちが抜いた型は無残にもただのゴミになってしまった。男はそのゴミをつまみ上げ、これではやはり金は払えないと笑った。
「あれ?」友人が言った。
僕も同じことを思った。その男の体の輪郭線が周りの背景から浮いて見える。
僕たちは手を伸ばし、男の背景をパキパキと折り始めた。
抜かれた男はまるで立て看板のようにそこに立ち尽くしていた。
ファンタジー
公開:18/06/06 00:11
更新:18/06/16 18:17

松山帖句( 松山城の麓 )

松山はええところぞなもし。だんだん。

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