秋桜畑にて

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バスでじっ分徒歩ご分。
この暗号の様な道しるべは物心のつく前から母から耳に蛸ができるほど聞かされていた。
バスが向かってくる。祖母の手を引き老人に悪いだろう階段を上る。
そして十分間バスに揺られる。
窓から覗く何年も変わらない見馴れた景色を一瞥し、目的地からの最寄り駅で降車ボタンを押す。
次、止まります。と大きく書かれた画面の後に続く料金は前に来たときよりも高くなっている気がした。
祖母の分の料金も払い終え、祖母の手を引きながら下車する。
それからの五分は早い。何故なら祖母の足が急に速くなるからだ。
先程までとは打って変わり、私の手を引きながら食い気味に歩く。
そして着いたのは秋桜畑。
祖母は秋桜が大好きだ。夫との思い出の花。
赤い秋桜をうっとりと眺める祖母は少女のように見える。
「ばあちゃんは今幸せ?」
白い秋桜を背景に、皺くちゃの顔に笑みを浮かばせ、桃色の秋桜を抱き、うんと頷いた。
その他
公開:18/02/14 03:13

腹痛( あいち )

月の音色リスナーです
何卒よろしくお願いします
反応に困るようなものしか書けません。

作品に使用している画像はすべてフリー素材です。
○○
twitter始めました➯➱@Ogura1935

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