記憶のあなた

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偶然、昔の同僚に駅のホームで出逢った。
「久しぶり」
「痩せた?」
「いや、太った」
「髪、随分切ったね」
「え?私、ずっとショートだよ」
人の記憶とは、とても曖昧で、しかし、その人を『その人』と認識出来ている。そこでふと、疑問が湧いた。
(何故、記憶の中とは変化している相手を同一人物と断定出来たのだろう。確かに、背格好や顔立ちは記憶のままだとしても、他人の空似もあるし。よく自分にそっくりな人間は3人は居るというしね)
すると、彼女がこんな事を口走った。
「そういえば、この間沖縄で会った時、あれ、何か怒っていたの?凄く冷たかったけど」
ほら、きた。彼女は勘違いをしている。
「それ、人違いよ。私、沖縄なんて行ってない」
「え?だって、牧ちゃんって呼んだら振り向いたよ」
「え?牧ちゃんって誰?!」
「…え…牧さん…だよね?」
「違うけど…長谷川さん勘違い…」
「…私、長谷川じゃない」
ホラー
公開:18/04/04 21:42
更新:18/04/04 22:03

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