無垢なひとと最後のワルツを

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絹のドレスを着た彼女が一人待つホールへと一歩、また一歩と前進する。
若い頃の姿の僕を、彼女は分かるだろうか。
彼女は棺に横たわっていた。
何千年経っても美しいままの額に口付ける。
手を引き、棺から出してあげる。
無抵抗の彼女の肢体は軽く、天使のよう。
まるで生きているみたいだ。
そう思ったのは何百年も前、彼女を見つけた時のみだ。
彼女は生きているのに、そう思うなんて可笑しいだろう。
僕よりも細く、大きいその無抵抗な体をエスコートする。
彼女が昔よく歌っていたものをうろ覚えに歌う。
二人だけのホールで伴侶と踊り続ける。
こんなに幸せで理想的で愚かな夢が叶えられるなんて!
世界が壊れていく。
段々と皮膚が捲れ、痛痒さが全身を犯す。味覚が可笑しくなり自然と舌を突き出す形となる。耳鳴りが頭を殴り続ける。
彼女の手を強く握る。
視界は、彼女の顔だけは死ぬまでずっと__

彼女の顔を忘れた僕がいた。
ホラー
公開:18/03/01 16:03
更新:18/03/15 22:12

腹痛

何卒よろしくお願いします
反応に困るようなものしか書けません。

作品に使用している画像はすべてフリー素材です。
コメントを頂いても返信出来ない時が多いです。すみません。

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