丸める

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思わず上げそうになる声を殺して、歯を食いしばって耐える。
身を守るように縮こまり、けして動いてはいけない。
ただおさまるのを、じっと待つ。
膝を抱えて、体を丸めて。
指すらも丸めて、握りこぶしを作って。
わずかでも面積を小さくするように。
大丈夫。これは最初だけ、直ぐに慣れる。
私は、望んで身を沈めたのだから。
もとより、どこにも足を延ばせない、窮屈さからは逃れようがない。
身を焼くような思いも、冷めてしまうよりもいい。
望みはきっともうすぐかなう。
ほら、指は動く。
そっと手足を身じろがせ、丸めた体をゆるめてゆく。
やがて、伸ばした背をあずけ、もたれかかることすらできる。
まっすぐにあげた両腕、こらえていた声がこぼれた。
「ふーっ、いい湯だあ。」
ふふふ、どこでわかった?
その他
公開:18/02/25 04:04
更新:18/03/03 05:54

誰か

心楽しい読書になりますように。

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