ある夏の日

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夏の日差しが眩しい、思わず目を閉じた。
すぐに真っ暗になり、今迄の人混みの中で聞こえていた騒音が全く聞こえなくなった。暫くすると少し明るくなってきて、目を開けて見ると私は一人穴の中にいて、そこから小さな皿ぐらいの空を見上げていた。
気付くと私のいる穴に空が段々と大きく迫ってきた。穴から逃げなくてはと足掻いている内に、何故か砂浜を歩いていた。
波の音だけが聞こえ、空はまっ平に広がっている。私は海と空の境界が何処にあるのか探してみようと、果てしなく続く砂浜を全力で走り続けていた。

その時、突然大波が押し寄せ来て、飲み込まれてしまった。
海底から声が聞こえる、空も海も貴方の周りのもの全部が大切なものばかりです。ここが良いと信じて前に歩き続けなさいと言っている。

急に周りが騒がしくなり、我に返ると太陽が照りつけた人混みの中にいた。
そこで立ち止まらないで下さいと、私の背後から声が聞こえてきた。
ファンタジー
公開:21/07/14 13:14
更新:21/07/14 16:08

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