気の利いた財布

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「お兄さんお兄さん。ちょっと見ていってよ。掘り出し物があるよ」

道に風呂敷を広げて露店をしている胡散臭い感じの男に声を掛けられた。

まただ…。前にもこのおっさんに話しかけられて、俺は陽気なシャンデリアを買わされたんだ。

「お兄さん。財布がボロボロだね」
「ああ、まあ…確かに古いけど」
「ならこれなんてどうだい?気の利いた財布」

俺は男のセールストークに乗せられ、千円という安さもあって気の利いた財布を買った。

家に帰って、早速財布の中身を入れ替える。するとすぐに気の利いたの意味が分かった。

適当に入れたはずのお札の向きをそろえて入れてくれる。カードをよく使う順番に並べてくれる。不要なレシートを勝手に捨ててくれる。

おお…。これは便利だ。良い買い物をした。
だが買い物をする度に「無駄遣いはしない方がいいです」と喋りかけてきて鬱陶しい。
それだけが悩みだ。
ファンタジー
公開:21/02/28 11:03

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
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