うそつきは泥棒のはじまり

4
6

「ねえ、今日ウチに泥棒が入ったって知ってる?」
 あまりに唐突な妻の言葉に、私は皿に伸ばしかけていた箸を引っ込めた。
「え、本当に?」
 私が思わず妻の顔を見ると、彼女はおかしそうに笑っていた。
「嘘だよ」
 思わずため息が漏れた。安心したため息なのか、うんざりしたため息なのかはわからない。妻はそんな私の反応を見てニコニコと嬉しそうにしている。
「変な嘘つかないでくれよ。嘘つきは泥棒の始まりだぞ」
 それを聞いた妻は、箸を皿に伸ばしながら、何かを考えるように宙を見た。
「じゃあ私は泥棒だから、さっき言ってた事はホントになっちゃうね」
 妻はそう言うと箸を口に運び、もぐもぐと食事を続けた。
「何をワケのわからないことを言ってるんだか」
 そう言って私は引っ込めてた箸を皿に伸ばすと、あることに気がついた。
「あれ?ここにあった唐揚げが無くなってる」

 目の前の泥棒は嬉しそうに笑っていた。
その他
公開:20/09/23 21:49
更新:20/09/23 22:15
コメディ

花脊タロ( 京都 )

純文学系の作品を読むのが好きなので書く方も純文学よりのものが多くなります。

ご感想頂けると大変嬉しいです。

Twitterも是非フォローしてください。
ホームページには自身の全作品をまとめて掲載しています。
Twitter→http://twitter.com/hnctaro
ホームページ→http://hnctaro.wordpress.com

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容