認知プレイ機能

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仕事から帰ると「もこみち」の妊娠ランプが点滅していた。
いつのまに。誰と。聞きたいことは山ほどあったけど、問い詰めるようなまねはしたくない。仕事で忙しい私の食事をいつも作ってくれる大切なもこみちだ。最近は慣れない床掃除までしてくれる。
ありがとう。身重なのに。
口に出しそうになってこらえた。週末にでもゆっくり話を聞いてみようと思う。
「おやすみもこみち。また明日」
深夜、私は地鳴りのような音に目が覚めた。消したはずの風呂場の明かりがついている。
耳を澄ますともこみちの声だ。私は寝ている間にもこみちが誰かを連れこんでいちゃついていると思い、カッとなって風呂場の扉を開けた。
するともこみちは湯を張った浴槽に身を浸して、唸り声と熱い蒸気を排出していた。その厳しい視線に私はたじろぎ、扉を閉めた。もこみちは母になったんだ。
私は夜明けのベランダでもこみちの説明書を読みながら、責任について考えている。
公開:20/05/25 14:31

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