５００メートル先

「ママ、５００メートル先で本当に道路を掘ってるのか、ボクが確かめてくるよ」



この言葉を最後に小学生の少年が行方不明になって一年が過ぎた。

母親に寄れば、当時少年は県道に置かれていた立て看板をしきりに気にしていた。

その看板にはスコップで地面を掘る人物をアニメ風に描いた絵に、「５００メートル先」の文言が添えられていたと言う。

だが、県に寄れば当時道路工事の予定はなく、従って立て看板も出していないと主張している。

だとすれば少年が見たと言う看板は何なのか？

５００メートル先で少年の身に何が起きたのか？

県警は今も大捜索を続けている。




「ねえパパ、さっきのファミレス近くの道路で変な看板を見つけたよ」

「どんな看板？」

「地面を掘ってるおじさんの絵と、５００メートル先って書いてあるんだけど、そのおじさんがね」

「おじさんが？」




「ボクを見て笑ったんだよ」