カレンダーがこわいわけ

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 くるくる巻いたカレンダーの筒がたくさん届く。ぼくは「ああ、またこの時期がきたんだ」と思ってゆううつになる。
 うちでは、いただいたカレンダーはみんな壁に掛けるきまりになっていて、ぼくがカレンダー掛け係なんだ。家中の部屋や廊下の壁にピンを刺して掛けるんだよ。
 くるくるのカレンダーはいくら反対側にくるくるしてもくるくるをあきらめない。それを掛けるから、家中の壁のあちこちが、くるくるめくれているように見える。それは、歩いているぼくの髪や耳をなでたり、噛み付いてきたりする。ときにはぼくの肩をつかんで、ドサッって体当たりしてきたりもするんだ。
 ぼくがくるくるの邪魔をしたから、カレンダーはぼくを恨んでいるんだと思う。それにね……
 カレンダーって、いつのまにかダラリとまっすぐになってるでしょ。それってきっと、死んじゃったってことなんだよ。ぼくが殺したんだ。
 だからぼくはカレンダーがこわいんだ。
ホラー
公開:19/11/23 09:38
こわいわけ ys358さんによる 写真ACからの写真

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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