ターニングポイン塔

ターニングポイン塔の最上部は、ドキュメンタリーに携わる者の聖地だ
ここに来ると、誰かがターニングポイントを迎えたらすぐにわかる

見えるのだ
良いターニングポイントだと赤
悪いターニングポイントだと青
連れてきた後輩も塔の上から街をみて驚いていた
火花が散るように赤と青が空間を彩る

東京
つねに誰かの夢が叶い、破れる場所

そのとき、閃光が駆け抜けた
赤だった
誰かが大きな夢を叶えたのだ
後輩を見ると、彼も赤い光を放っていた
これに気がついたこと自体が彼のターニングポイントなのだろう
僕たちは塔を降り、光った方へ向かった
チャンスを逃すわけにはいかない

大学病院だった
世界を揺るがす細胞でも発見したのだろうか
その足で取材を申し込んだ
監督は後輩に譲った

２年後ドキュメンタリーは大ヒットし、彼は有名になった
僕はまだ当時のまま平凡な毎日を送っている
全身を包む紫が、赤になる日を信じて