251. ボクは……。

12
14

ボーイッシュな彼女は、ボクを初めて見たときから「カッコいい!」と言って、朗らかに笑んでくれた。

帰宅すると真っ先にボクに挨拶をし、眠れないときはいつもボクの横に来た。
うっかりボクが倒れたときには、心配して背中を撫でてくれた。
そうやって7年程彼女と過ごしたけど、別れは突然やって来た。
彼女はある時を境に、ボクに一切触れなくなった。
スマホ、というものをいつも触るようになり、ボクを押し入れの隅に追いやった。
ボクはそこで暫く眠っていたようだ──。

ある日家が軋むのを感じた直後、大人になった彼女ととても久しぶりに対面した。

背中の電池が入れ換えられた。
「良かった、まだ生きてる!」
そう言って、彼女は彼女の家族と喜んだ。

『ピー…ザザ…大型で非常に強い台風◯号の接近と共に広い範囲で停電に…』

ボクはラヂオ。思い出してくれてありがとう。
キミのこと、やっぱり愛してるよ──。
ファンタジー
公開:19/09/17 08:00
更新:20/12/15 17:03

ことのは もも。( 日本 関西 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていこうと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

カントー地方在住
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容