雨の独り言

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「ママー、ゾウさん如雨露壊れちゃった」
坊や待って!そう言いたいけど、私には口がない。
「どうしたの?」
「この如雨露ね、水が出なくなっちゃったの」
ああ、ママよく見て。ちょっとお鼻の根元が詰まっちゃっただけなの。すぐに良くなるからもう少し待って!そう言いたいけど、私には言葉を発することが出来ない。
「壊れちゃったのかな?捨てちゃう?」
ママの言葉に坊やは首を横に振った。
坊やとママは私の中に土を入れるとそこに花を植えてくれた。
その日、私は如雨露としての役目を終え、新たに植木鉢として生きることになった。
この生活も悪くない。毎日坊やは私と花に話しかけてくれるし、水も入れてくれる。
そんな坊やに私はどうしてもお礼が言いたかった。
それを花に相談すると「いい方法があるぞ」とあることを教えてくれた。

数日後。
私の鼻先からカスミソウが生えてきた。
花言葉は、ありがとう。私の精一杯の気持ちだ。
公開:19/08/12 19:48
更新:19/08/12 19:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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