十月の神様

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十月は「神無月」と呼ぶように、全国の神様が島根県の出雲大社に集結する。
出雲大社では年に一度の会合が開かれ、お互いに近況を報告しあう。
日本神話にも語られているとおり太古の昔は天地を創造した神様も、最近の悩みはアナログ化が進んでいることで、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といったデジタルテクノロジーには無頓着になっていた。
そこで、会合のあとに立ち寄るのが出雲科学館だ。体験型のサイエンスミュージアムで学び、幅広く知識を吸収してから帰途につく。
ただ、花より団子、色気より食い気というように、出雲大社とゆかりの深いフグのお茶漬け「うず煮」や出雲そば、スズキ、ヨシエビ、ウナギ、アマサギ、シラウオ、コイ、シジミーー宍道湖七珍(宍道湖の代表的な七種の魚介類)など、ご当地グルメだけ堪能して満腹で帰る神様もいたりする。
人間にも該当するような者がいるけれど、神様もあまり変わらないようだ。
その他
公開:19/10/31 22:20
十月 神無月 神様 出雲大社 デジタルテクノロジー 出雲科学館 うず煮 出雲そば 宍道湖 ご当地グルメ

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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