鬱悒き夫 ─貪婪骨董屋─拾七

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「あいつ本当に蛙みたいな顔をしているの!」
隣国から嫁いだという彼女は、カツカツと苛立ちを靴音に、唇からは絶えず愚痴を零し続ける。まだ十四の娘だ、家同士の問題など冷静に受諾出来る筈もない。
「私の唯一の楽しみは買い物で発散する事よ」
「街にはパンすら買えない人達も沢山いますが」
「何それ!」
「いえ別に…そうだ面白い品が」
アベルが出したのは小瓶とスポイトだった。
「この液を目に垂らすのです。きっと世界が変わりますよ」
「面白そう」
「素敵な新婚生活を」

彼女は早速屋敷に戻って試した。
「お帰り」
夫の声に嫌々振り返る。すると、立っているのは男装した自分の姿だった。
「?!」
お帰りのキスと口の中を舐め回されるのがあれ程不快だった筈が、今は体が溶ける様に熱い。
「ねぇ寝室に行きません?」
我慢出来ず誘うと、夫は喜んで彼女を寝室へと運ぶ。
彼女が腹に蛙の子を宿すのは、最早時間の問題だった。
ホラー
公開:19/03/03 22:32
更新:19/03/03 22:43
貪婪的 新生活 ナルシスト 夏の夜の夢

川勢 七輝

【貪婪骨董屋 概要】
人類最初の殺人カインとアベル。弟を殺害後、神に彼の行方を尋ねられるが白を切るカイン。しかし大地に残されたアベルの血が兄の罪を神に訴える。
カインは追放され、アベルの血は天界で守られる事となった。
時は流れ、人間達が神の声に耳を傾けず横暴な振る舞いを続ける頃。神の関心は地球から薄れつつあった。そして、アベルの血の守護役であった天使は、彼のお守りに飽きが生じ、妙な空想に取り憑かれていた。
「何故、アベルは兄の嫉妬心に一切気付かなかったのか。また、血だけとなっても神に訴える復讐心、執着心に罪は無いのか。この欲が諸悪の根源なのでは」
神の目を盗み、天使のいたずらが始まる。
 

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