目球

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転んだところが悪かった。地面から飛び出していた突起にちょうど目玉が突き刺さってしまったのだ。その突起はささくれ立っていて引っ掛かる。このまま頭を上げれば目玉がすっぽり抜かれてしまいそうだ。
どうしたものか。私は四つん這いになって目玉を突き刺したまま思案する。どうせもう使い物にならないだろうから、取れてしまったところで構わないかも知れない。それでも何十年と共にした目玉だ。手放したしまうのは惜しい。その上、これがはじめてのことではないのだ。目玉は二つ、三度目ではない。はじめての時はすっぽり目玉がとれてしまった。最後の目玉を無くすのはやはり惜しい。
ふと何も見えないはずの私に僅かな光が差した。反射的にその輝点を探るべく力を込めれば、急激に視神経と毛様体筋が突起物へ蔓延っていく。私は地球を僅かに引き伸ばし、その先に蒼い星を見た。それは水が液体として存在する可能性。系外惑星に生命を感じた。
SF
公開:19/02/23 16:56
更新:19/02/23 18:35

puzzzle( 神奈川19区 )

作文とロックンロールが好きです。
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