俺と筋肉の物語

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「おはよう筋肉。今日も張りきっていくぞ!」
俺の呼びかけに、上腕二頭筋がピクリと動いた。
「マッチョが好き♡」とA子が言うので、俺は肉体改造を始めた。
『筋肉に話しかけると、効果が高まる』
という噂通り、順調に体は大きくなった。
しかし、困った。
筋肉が意思を持ち始めたのだ。
今日は疲れてるから休みたいと思っても、
まるで身体の中に鬼コーチがいるように勝手に動く。

まいったなと思っていたが、筋肉の動きは止まった。
それどころか話しかけても無反応で、細っていく。

恋だ。
意思を持った筋肉は「太宰治がタイプ」というB子に恋をした。
やつは太宰体型になろうとトレーニングを拒否する。
俺は無理やり動かそうとする。
不毛なやりとりが続く……

ある晩、俺は激痛で目が覚めた。
ベッドの横のスマホに手をのばそうとして、メモが目に入る。
【今までお世話になりました】
筋肉は出ていった。


肉離れだ。
青春
公開:18/11/29 22:22
更新:18/11/30 22:49

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