ラストプレゼント

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今日、うちで飯食ってきな。ああ。今日は特別なんだ。実はね、少し前の吹雪の日に若い女の客があってね、一晩泊めてくれって言うから泊めてやった。それで機織り貸してくれって言うから貸した。そしたら朝までギッタンバッコン。朝には見事な反物が出来ててな。それを町で売ってお金にしてこいと言うんだよ。いい金になった。それから毎朝、反物が出来上がるんで、お金がどんどん増えてった。6日目の朝に「これが最後の反物です」と言うんだよ。つい「なんでこんな事してくるんじゃ」と聞いたら「私はあなたに助けられた鶴です」って。それ聞いて、儂は言ってやったよ。

「それ、儂じゃないよ」

ほれ、お前、この前、鶴を助けたって言ってたろ。儂とお前を間違えたんじゃな。
「もう恩返ししようにも羽が残ってない」と鶴が泣くから儂は言ったよ。
「大丈夫だ」と。

まあ、そんなわけで、今日、鶴鍋だから一緒に食べよう。きっと泣くほど美味いぞ。
ファンタジー
公開:18/10/17 18:41
更新:18/10/17 21:09

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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