暴君は目を覚まさない。

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チョコレート好きの王様は言った。
「もっとチョコを持ってこい!」
大臣がひざまずいて答えた。
「申し訳ございません。船が難破してしまいまして、新しいチョコレートはしばらく手に入りません」
「ええい、国中のチョコをかき集めてこい! いいか今日からワシ以外はチョコを食べるな!」

それからも王のわがままは止まらなかった。
ついに大臣もしびれを切らして忠告した。
「王様、このような横暴はもうおやめください。民からも不満が出ております」
「ええい、うるさい! 今日からワシ以外は誰もしゃべるな。みんな筆談にしろ!」

夜中、王様の元へ侍女がやってきて体を揺さぶる。
「ええい、なんだ。ワシは眠いのだ。起こした者はみな処刑するぞ!」
侍女はそのまま黙って立ち去った。

朝になり、宮殿があった場所には真っ黒にすすけた王冠と骨が転がっていた。王に反対にした民によりつけられた火で宮殿は燃え尽きたのだ。
ファンタジー
公開:18/10/11 22:10

新屋鉄仙( 札幌 )

小説サークル『堕楽堂』代表。2018年11月の文学フリマ東京で発表した作品を数量限定で発売中(https://darakudo.booth.pm

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