幻視力発電所

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タワー型都市──塔京。
妄想が現実化する世界である。
ここ幻視力発電所は、妄想力の強い人間の中でも、自己制御が困難な妄想使いを強制収容する施設だ。脳から漏れだす「放射脳」を発電エネルギーに変換することで、百八階ある塔全体の電力を賄っているのだ。

「所長、八一六九番の放射脳が、大量に漏れ始めましたッ!」
「チッ、またか⋯⋯」
規格外品。
よほど妄想力の酷い者でも、ここの制御羊水に収監すれば完全に制御できるのに、奴だけが安々と封印を突破する。
 あんどぅ、おーでぃ♪
   あんどぅ、おーでぃ♪
すでに巨大な美少女の妄想が廊下を埋め尽くし、謎の呪文を呟いていた。
「仕方ない、脳に直接ブラック珈琲を流し込め⋯⋯」
「はっ!」

本日もなんとか、水際で放射脳の妄走を食い止める事ができた。
100パーセント安全という触れ込みで、塔京の最上階である神宿に設置された際には、随分と揉めたらしいのだが⋯⋯。
SF
公開:18/10/09 14:51
更新:18/12/18 19:42
塔京 その影が追いたい undoodnu祭り

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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