霊安室の座敷童子

うわーんと大きな泣き声が聞こえてきた。
うちの病院の霊安室には座敷童子がいると言われている。患者が危篤になると、必ず霊安室から子供の泣き声が聞こえてくるのだ。
霊安室から泣き声が聞こえると皆気引き締め、今日一日が無事に終わりますようにと祈る。
その座敷童子は、時々霊安室を抜け出して小児病棟に遊びに行っているらしく、時折、子供達から目撃談を聞いた。大病で長いこと入院している女の子は
「夜怖くて泣いてると、れいあんしつに住んでる子が遊びに来てくれるよ。面白い話で笑わせてくれるよ」
と言った。

その日は霊安室の泣き声は聞こえなかった。安心しきってたところ、日付の境目で容態が急変し女の子が亡くなった。
霊安室を出てご遺族と女の子を乗せた寝台車に手を合わせ見送る。

横見ると同じように手を合わせている子供がいた。(座敷童子？)車が見えなくなると、その子供は空を仰ぎ、天が割れるような大声で泣いた。