凶器の行方

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『19日深夜、太陽系地球の観光農園で男性が刃物で刺される事件が発生しました』

『被害者は太陽。すぐに病院へ搬送され、命に別状はありません。被害者と交際があった月が事情を知っているとみられ、詳しい話を聞いています』

僕と先輩は現場へ駆けつけた。
「月は容疑を否認している。凶器が見つからないことには何とも言えんな」
先輩は頭を抱えている。

「確かに厄介ですね」
犯行現場とされている一面が、いが栗で覆われていたのだ。

「やるしかないだろう」
二人で地面が全て見えるまで栗を拾った。
しかし、凶器は見当たらない。

日はすでに西へと傾いていた。
「凶器がないということは、月は犯人ではないと?」
汚れた軍手を外しながら、先輩に聞いてみた。

「いや、きっとあいつが犯人だ」
「返り血を浴びてから着替えてないんだな」

空を見上げると、真っ赤な月が辺りを照らしていた。
ミステリー・推理
公開:18/10/20 22:39
更新:18/10/20 22:48
スクー 月に代わって栗拾い

ろっさ( 大阪府 )

短い物書き。
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