潮目が変わって

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生まれ育った町の海に、潮目がある。
性質が違う海水の塊同士の境が、海面に表れたものだ。
近所のそれは最近、急に激しくうねり波立つようになっていた。

調査しても原因は不明。町の人々は海の神様をまつる神社への供物を増やし、お祓いをし、海辺も頻繁に掃除した。
それでも潮目の動きは一向におさまらない。
「どうしたの?」
掃除の翌日、筋肉痛とともに海を眺めていると自然に言葉が出た。

その晩、夢に潮目が出てきた。
「塩がきつくて……海水の塊がぶつかり合うと、しみてヒリヒリするの」
「それはつらいねぇ。痛くて身もだえてたのかぁ」
「そんなところ」

翌朝、町の皆に「知恵袋」と呼ばれているおばあちゃんに相談した。
その結果、ヒアルロン酸やらムチンやらが舟に積まれ、海に浮かべられたのだった。


潮目は静まった。
おばあちゃんは笑いながら海を見遣った。
「どんな目にも、ドライアイには目薬じゃの」
ファンタジー
公開:18/05/17 00:55

UKITABI

ショートショート初心者です。
作品をたくさん書けるようになりたいです。

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