恋心ストレート

0
86

ある雨の夜、僕の傘が無くなった。
誰かに捕られるような傘じゃない。
だからきっと、自分から出ていったのだろう。
使いはじめてから、もう4年。
雨を打つことにも、飽きたのかもしれなかった。

今日の雨は恋心。
しかも風がないからストレートと来た。
スピードは早いがその分真っ直ぐ。
いつもの相棒となら、難なく打ち返せる雨だろう。
けれどこの手に残されたのは、中身の少ない財布だけ。
これでは打ち返すこともままならず、致し方なし、財布を嵌めることとした。

空から降り注ぐ恋心を、キャッチ&リリースで返していく。
降り方にムラがあるから、恋に落ちて間もない頃だろう。
ゴロをすくいながら、そんなことを考える。
と、その時。
メジャー級のスピードで飛んできた恋心が僕の頭にぶつかって。
僕は、恋に落ちた。



これは、私の元相棒。
ストライクゾーンの恋を片っ端から打ち返す野球バカに、やっと春が来た話。
青春
公開:18/04/17 00:08
更新:18/04/17 06:21

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容