かたき券

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強風の原っぱ。俺と対峙するのは親父を殺した仇だ。汚い字の書かれた紙きれを俺は見ていた。

「お仕事、お疲れ様。これ、あげる」
「肩たたき券か。さっそく使うよ」
自分であげたくせに、親父の凝り固まった肩をやっつけるように百回たたいたっけ。
「早くない?」

当時、親父は仕事で重要な案件を任されていて、ライバル企業が殺し屋である奴を雇ったようだ。
紙きれを手から離すと、風に流され、奴の元へ。
「かたき券?なんだこれ」
奴は鼻で笑い、破って捨てた。それが合図となった。

「字が足りないな。これじゃあ、かたき券だ」
「有効期限はないよ」
「もしも、父さんが悪い奴にやられたら使おう」

プロの殺し屋より素早く移動し、背後に回る。俺だって、今ではプロの仇討ち代行屋だ。絶対に悪をたたく。拳に力がみなぎる。奴の肩をたたく。
肩百たたき!

仇をやっつけた頃、風は止んでいた。
「コリない奴は痛みだけ感じな」
その他
公開:18/04/16 23:13

そるとばたあ( 神奈川 )

ショートショート書いています。

短い時間で読めて、長い時間で味わえる作品をかくことを模索中です。

 

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