アイスバー

14
90

たまたま見つけたバー。ドアを開けると異様な光景が広がっていた。
目をつぶっている者、足でリズムをとっている者、姿勢は様々だが、客が全員イヤホンを耳にしている。そのイヤホンは客の目の前にあるグラスに繋がっている。

一人の客がイヤホンを外した。グラスの氷はすっかり溶けてしまっていた。「マスター、もう一杯。今度はミステリーを」
するとマスターが氷の溶けたグラスを下げ、新しいグラスを運んできた。そのグラスには氷だけが入っている。

「『アイスバー』なんですよ、うち」マスターが私の顔を見て言う。
「アイスバー?」
「ええ、氷の中に音楽や小説を閉じ込めてあるんです。ああしてグラスに入れてゆっくり溶かすと、閉じ込めていた音楽や小説が聞こえてくるんです」「どうです?一曲。それともショートショートにしますか?丁度上質な話を仕入れたところですよ」

試しにファンタジーを聞いてみた。ほっこりして元気が出た。
その他
公開:18/06/18 21:31

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。
いつかちゃんと書きたいと思っているネタが3本ありますが、いまだ手付かずのまま。
まずはショートショートで修行します。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容