食べさせてくれる箱

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「この所ろくな飯を食ってない。ひもじくて死にそうだ」
すると横にいた友人がニヤリと笑いながら言った。
「穴場に連れてってやるよ」
連れていかれたのは狭い箱の中だった。友人は俺を箱に閉じ込めると「飯の方からやってくるから、明かりが差し込むところで口を開けてろ。後で迎えにくる」とどこかへ行ってしまった。
友人の言った通りに明かりが差し込む長方形の前で口を大きく開ける。すると本当に飯の方から口に入ってきた。どんどん入ってくるので、溜まったら飲み込みを繰り返した。久しぶりに満腹になった。
「どうだ、たらふく食ったろ」
友人が迎えにきた。膨れた腹をつかえさせながら箱から出て友人に礼を言った。2匹並んで談笑していると、後ろから人間が追いかけてきた。
「山羊ども!ポストの中身食いやがったな!」
2匹で命からがら逃げた。
「食後の運動になったな」
また箱に行く約束をし、めいめい帰った。
ファンタジー
公開:18/06/18 20:00
更新:18/06/19 20:31
郵便ポスト 月の文学館

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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