愛らしき女神

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男は湖に身を投げることにした。
生きることに疲れ、生きがいを失くしたのだ。深い湖の底へと沈んでいく男。
暫くすると、何者かに男は抱えられ、湖のほとりに寝かされた。生死を彷徨うなか瞼を開けると、そこには光を纏った女神がいた。
「おまえの落としたのはこの金の斧か銀の斧か?」
「は?いえ落としたのは命でございます」
「正直者。おまえに命と斧を授けよう」
(蘇る男)
「いやいやいや命は落としたくて落としたのでございます」
「なぜじゃ?」
「生きがいを失くしたのです」
「いき貝?どんな貝じゃ」
「じゃなくて、やりがいというか」
「いき貝にヤリ貝、美味そうじゃな」
この女神は天然だと確信した男は、適当にあしらい、この場を去ることにした。
「再び貝を供に持って参ります」
女神は愛らしく微笑んで、湖の底へと去った。
男は何か大切なものを落とした気がしていた。

心の深い深い底に落ちていったのは、恋だった。
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公開:18/06/04 18:01
女神 天然

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。
お笑い系のショートショートを中心に書いていきたいと思いますので、よろしくです(^^)。

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