スクランブルとエッグ

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スクランブルドエッグだと思ったでしょう。
うひひ。違うもんねー。

繁華街のスクランブル交差点。名物おじいさんがいる。歩行者用の信号が青になると、交差点内を縦横無尽に歩き回り、すれ違う人々に卵を渡すのである。渡された方は、受け取ったつもりがないのに、いつの間にか卵を持たされている。それは60年の熟練の技である。と言っても、おじいさんが60年前から卵を渡していたわけではない。逆である。おじいさんはスリだった。60年間財布を抜き取り続けたその技を、今度は逆に使っているのだ。

きっかけはイースターエッグだった。復活祭の日、たまたま通りかかった教会の前で女の子からゆで玉子を貰った。ゆで玉子には可愛い絵が描いてあった。それを見て、おじいさんは幸せな気分になった。そして、この幸せを誰かに分けたいと思ったのだ。

生卵だし絵も描いてないけど、スクランブルのエッグは幸せの贈り物(のつもり)なのです。
その他
公開:18/05/20 21:42

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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