人魚の嫁入り

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人魚と結婚すると告げると父は「あんな人間だか魚だか分からない物に」と頭から湯気を立てた。それは族長の知る所となり、結婚の条件に僕と人魚は海の中の聖地を荒らす輩を追い払う事となった。
聖地に着くと人影がいた。「すみません、出て行ってもらえませんか?」と言ったが連中は聞く耳を持たなかった。それどころか人魚を捕まえる様に取り囲み始めた。「あたしに任せて」人魚が三叉の槍を投げて一人の頭をブチ抜くと、連中は逃げ出した。
事が済んだと思ったら海面から爆雷が降って来た。駆逐艦だ。ひらっと躱すと人魚は凄い声で歌い出した。歌は衝撃波となり艦底を震わせて破壊した。だが敵は最後に数発の魚雷を放った。「僕に掴まって!」人魚が腕を回すと僕は全速でジグザグを描き水上にジャンプ。追って来た魚雷は四散した。
こうして僕らは結婚した。仲良しだけど気になるのは彼女の手料理が旨すぎて僕が丸々としてきた事だ。まあ海豚だからね。
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公開:18/05/20 20:39
更新:18/05/20 20:45

北澤奇実

『名作絵画ショートショートコンテスト』入選に『果て』を選んでいただき、ありがとうございます。今回も「ちゃんと書けただろうか』という思いがありましたので嬉しく思います。
『北オーストリアの農家』に至るまでに丸々一ヶ月半を費やしました。道中『壁』と『闇 1938』を書いて、じわじわと円を描く様に絵に近づいて行きました。最初に絵から感じた不思議な感じを一旦論理化して、「森を舞台にしたメルヒェンっぽい物を書きたい」と思い、お話のギミックとして再構成しました。
前二作の重心が低めだったので、『果て』は地に足が着いていない感じを目指しました。できる事なら、もっとスッと立ち上がる様に書く事が今後の課題です。

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