流星石

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幼い頃、じいちゃんから青くて透明な石を貰った。
本当に辛いことがあった時、石をフライパンで炒めると流れ星になってその辛い事を連れて飛び立ってしまうということだった。
しかし、中学校での授業で石のからくりは判明してしまった。蛍石は加熱により光り、パチパチと飛び跳ねるのだ。ぼくはがっかりして石を引き出しの奥にしまい込んでしまった。

ぼくが社会人になった年、じいちゃんが死んだ。
新生活で忙しく、病院にもろくに行けなかった最中での出来事であった。
葬儀を終え、家へ帰るとぼくは無意識に引き出しから石を取り出し、じいちゃんに言われた通りフライパンで加熱していた。
石はやはり中学校での実験通り、光ったり跳ねたりした。が、しかし。
ぱあん!
大きな音がして一際大きな光の粒が部屋の窓から飛び出した。ぼくは驚き、慌てて窓から空を見上げた。
大きな青い光が、美しい尾を引いて冬の澄んだ星空へと旅立っていった。
ファンタジー
公開:18/03/20 16:12

TAMAUSA825( 東京と神奈川 )

登場することが趣味です。

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